- キュレーター、太田菜穂子と
参加アーティストとの対話 - 岩田栄二との対話
- 杵嶋宏樹との対話
- 西山功一との対話
- 田尾沙織との対話
- セリーン・ウーとの対話

今、写真はその誕生以来、最大の激動期を迎えている。
デジタル技術の浸透は光学機器であったカメラを電気機器へとシフトさせ、表現もケミカルなフィルムと印画紙から成立するモノから液晶画面の中で存在するバーチャルイメージをも含むモノへと大きく変質、拡大しつつある。
これらの構造的かつ質の変化があったにもかかわらず、いや、だからこそ、“写真は写真として”現実社会の中で確実にその存在感を増し、“写真の質”と“写真表現の独自性”をもって、さらに多くの人々を魅了しつづけている。
今回の特別企画展では、写真維新とも言える只中にあって独自のヴィジョンを展開する5人の写真家の作品にフォーカスを当て、彼らの作品に潜む写真の力とその魅力を個別に考えてみた。
切り口はHIKARI、それは“光”ではなく、あくまでも“HIKARI”。私たちが生きる現代という時代において登場した“HIKARI”という写真のゴールを基軸に据え、これに『場所』と『時間』という縦軸を設定し、その姿を浮き彫りにしてみた。
本展覧会を通じて、まずは多くの方々と写真について、そして“HIKARI”について、写真に関するより深いコミュニケーションをとれればと願っている。
(展示予定作品数:50点〜60点)
キュレーター: 太田菜穂子
岩田栄二
Eiji IWATA
1978年、兵庫県神戸市生まれ。2009年、グループ展 Antipast参加(新宿眼科画廊)。2009年、写真塾resist4期参加。
光と影、それはモノを構成する要素。路上には光と影が溢れ,
私は漂う意識の断片を探して彷徨いながら様々なモノと向かいあう。
歩き続けることに夢中になり、見渡すと自分が今どこに立っているのかを
認識できないことも少なくはなかった。
路上を歩きまわること、それは私にとって新たな世界を発見するささやかな旅。
人が消えた路地、何気ない街の隙間、静かに問いかけてくる彫像たち。
街に残された意識は時間の化石となり、次々と視覚から知覚に飛び込んでくる。
路上で撮り続けることによって、いつしか記憶と記録が一体化し、私は私自身と対自することに気がついた。
存在を消すように佇むモノたちは私の記憶と外の世界を共有化させる媒介なのだ。
脆く、儚く、揺動している世界、街の記録は心の影となり鏡のごとく感情を投影してくる。
完全な形としてではなく、ただ淡々と時を積み重ねた存在に心を奪われる。
私はその一瞬一瞬を写真で表現したい。
影を描くために光の存在があり、光は記憶を記録として写し出す。
光と影は私の記憶=モノたちを描き出す要素なのだ。
影を追い続け、光を求め、今も私は路上の旅を続けている。
杵嶋宏樹
Hiroki KISHIMA
1979年生まれ。
コレクション:2007年 フランス国立図書館
咲きに行く - harmony scale -
調律するように、ひとつずつ。
世界や風景というか、もっとひとりずつの生活の身の回りを少しずつ変えていければ、木、一本を眺めてみても、雲一つない空を 眺めてみても、なかなかいいものだと思えるのではないか。
お互いがそういうところで恋愛のことでも、サッカーのことでも、環境のことでも相手の声に耳を傾けられればいいなと思う。
そうしたら、その場の空気みたいなものが生活の身の回りを変えていくことになるだろうし、どこかの風景や世界に響いてくれるので はないかという思いがあります。
2003年
ことばとおく
とおくとおく、
こころ流れて
消えてゆく。
この場所にこころ残そう。
この風景にこころ残そう。
こころのおく
とおくとどく、
ことば流れど
こころ映える。
ゆく日のひかり遊ばそう。
くる日のひかり遊ばそう。
2010年
西山功一
Koichi NISHIYAMA
1968年横浜生まれ。東京在住。20代より現代美術を学び、パフォーマンスやインスタレーション、展覧会の企画などを行う。2007年から写真を制作の中心にし、風景の中の不在の存在というテーマに向き合っている。
www.koichinishiyama.com
今ここにいながら、今ではなくここではない彼方の存在を知る。
かつては今だったあの瞬間に光を当てこの地上に定着させること。その起点を辿って行けば、他者には届かない個人だけの持っている切実で柔らかい部分への忠実さから始まっている。
例えばその始まりが、「私が子供の時に住んでいた家の近くには森があり、その森の中では世界の深い部分との繋がりを感じることができた。しかし私の成長と比例して森は時間を掛けて崩されてゆき、目の前には喪失の過程だけが残り続けた。」 という私的な記憶だったとする。
私たちの生活がその時代や場所から逃れることができないとすれば、この時代の物語の語り方は過剰さの中で汚染されて信頼を失い堕落し続けているかのようにも見えてくる。その中で私たちが自律性を保つためには、理解も共有も親密さも要求しない沈黙のみが、残された唯一の有効な手段なのかもしれない。
しかしそれにもかかわらず、始まりの点をもう一度信じてみる。そしてこの地上にある微かな接点を注意深く見つけだし、点と点を結び続けてみる。その向き合い方が失ってしまった時間に抗うことに似て分が悪くても、私たちは急がなければならない。
全てを失って手遅れにならないために。小さな物語を普遍へと繋げるために。世界との整合性を再び奪回するために。
彼方にある瞬間を地上へと着地させることとは、私たちの身体が消失したあとも百年後千年後までそれらの存在を更新し永続させることへの願いである。私たちが芸術とか写真とか名付けて産み出すものは、時の洗礼にかけられても生き続ける強さを常に前提としている。光に照らされたあの列に並ぶことは、孤独なことではないのだ。
結んで来た点の先端は今ここにある。
田尾沙織
Saori TAO
1980年東京都生まれ。「第18回ひとつぼ展」グランプリ受賞(2001)を受賞。コレクションは清里フォトミュージアム、個展歴として、渋谷SOMA CAFÉ(2000)「ビルに泳ぐ」銀座ガーディアンガーデン(2002) / 京都prinz (2003), 「LAND OF MAN」gallery (g) (2007)、その他グループ展にも数多く出展している。
www.taosaori.com
日常、旅の途中、自然と写真を撮りたい衝動に駆られる。
自然と光に魅せられて写真を撮ってしまう。
光はその一瞬のもので、写真はその場所へ行ったということだけでなく、
その光と出会ったという証拠になる。
写真は私の記憶であり心を動かされた瞬間、もう取り戻せない過去になる。
旅先で何が現実なのか解らなくなる。
この東京とあまりにも遠い国の接点が見えなくて、
遠い国で東京という街は夢なのではないかと錯覚し、
今まで旅して来た事が夢のように感じられる現実が東京にはある。
水のない川、水の溢れる森、広い空と乾いた大地に凍る水。
接点がない世界でも、全ての源はひとつで、
私が歩いて来た地球は大きくて狭くて、そして美しい色と光にいつも包まれている。
セリーン・ウー
Celine WU
香港に生まれ、4才で日本に渡日、神戸のインターナショナルスクールに入学、ロサンゼルスの大学でアートを専攻。卒業後、ロサンゼルス、香港、東京で広告およびインテリア関連の仕事を経験。2003年よりホテルプロジェクトのコミッションフォトアートを手掛ける。2010 Photo LA 及び Los Angeles Art Show に出品。オンラインマガジンFraction Magazine 2010年3月号に作品掲載。
celinewu.com
はざま - Presence in Between -
時に激しく、時に優しく
私たちを包んでくれる太陽の光は永遠とも思える時間を旅し、
その終着点で陰影の創造美を私達に魅せてくれます。
そして、そのはざまに精神世界とも思える存在を感じ、
その神秘的な瞬間を捕らえようとしました。
香港で生まれ、神戸やロサンゼルス、東京をベースにして生活を続けてきた私は、
常に東洋的感性と西洋的感性の間に存在し、どこが母国なのか、
どの文化や言語が自身のオリジナルなのかさえ分からなくなります。
このプロジェクトは自身の内面にまだ眠っているアイデンティティーを探す旅であり、
国や地域の文化、精神性を越えた、絶対的な存在を探し続ける旅でもあるのです。
主催:KLEE INC PARIS TOKYO
協力:ホテル グランパシフィック LE DAIBA
作品制作協力:キヤノン株式会社
GALLERY 21
東京都港区台場2-6-1
ホテルグランパシフィック LE DAIBA 3F
PHONE 03-5500-6711
アクセス
10:00 - 20:00
7 days a week
Admission Free
| 会期中のイベント |
◎作家を囲んで
- 2010年6月5日(土) 17:00 - 18:30
- 在廊作家:岩田栄二 / 杵嶋宏樹 / 田尾沙織 / セリーン・ウー
- 出展作家と作品を前にお話いただける貴重な機会です。ぜひご参加くださいませ。
*西山功一は出席できませんが、6月13日(日)に在廊いたします。ぜひご来場ください。
*その他、会期中の作家在廊予定につきましては随時webサイトにて告知いたします。
◎アーティストトーク&ポートフォリオビューイング
- 2010年6月19日(土) 17:00 - 19:00:岩田栄二 / セリーン・ウー / 太田菜穂子(キュレーター)
- 2010年6月20日(日) 17:00 - 19:00: 西山功一 / 杵嶋宏樹 / 太田菜穂子(キュレーター)
- (参加無料。途中参加/退席は可能です。どうぞお気軽にご来場ください。)
出展作家とキュレーターが作品について、展覧会について皆様にお話をいたします。
また、展示がされていない作品を特別にポートフォリオ形式にてお見せすると共に、
作家とキュレーターによるポートフォリオ・ビューイングを行います。
*ポートフォリオ・ビューイングについて
ポートフォリオ作品をGALLERY 21のキュレーターが拝見いたします。
プレゼンテーションをご希望の方は事前にエントリーをお願いいたします。(定員6名)
エントリーはinfo@klee.co.jp宛にお名前と「ビューイング参加希望」の旨ご連絡くださいませ。
こちらからもエントリーが可能です。

